新潟県が第2のふるさとに。副業マッチングサービス「ともるい」で地方企業とつながる

リモートワークが当たり前になりつつあるなか、都会にいながら副業として地方で働くことができる副業支援サービスが、ここ数年、増えています。

「ともるい」https://tomorui.jp/)はその一つ。新潟県を中心とした地方企業と都心のビジネスパーソンを結ぶマッチングサービスです。

2019年9月に、当時大学院生だった室田雅貴さんが立ち上げ、翌2020年2月にサービスを開始。2021年5月には、県内中小企業と都市部人材の兼業・副業によるマッチングを行う事業として新潟県に採択されました。

運営するのは、株式会社Riparia(リぺリア)。新潟大学発のベンチャー企業です。
どのようなサービスなのか、代表取締役CEOの室田さんにお話をうかがいました。(text:井上かほる)

「ともるい」を立ち上げた株式会社Riparia代表取締役CEOの室田雅貴さん

J2のアルビレックス新潟、酒蔵や料亭など、新潟ならではのプロジェクトを掲載

「ともるい」のホームページをのぞいてみると、新潟県内のさまざまな企業が副業で働く人材を募集しています。

たとえば、2021年6月7日時点は、以下のようなプロジェクトが掲載されていました。

 〇サッカーJ2・アルビレックス新潟のマーケティング戦略立案者を募集
  新潟県新潟市
  フルリモート 
  週15時間程度
  75,000円/月(業務委託契約)

 〇おしゃれな農作業着専門店の越境EC運営サポーターを募集
  新潟県三条市
  フルリモート 
  週10時間程度
  30,000円〜100,000円/月(業務委託契約)

 〇越後薬草のプレスリリース執筆ライターを募集
  新潟県上越市
  フルリモート
  10,000~15,000円/1記事(業務委託契約)

 〇デザイン事務所のWebデザイナーを募集
  新潟県長岡市
  フルリモート
  週10時間程度
  60,000円/月(業務委託契約)

マーケティング、エンジニア、ライター、デザイナー、新規事業立ち上げ、営業、経営企画と、職種・業種ともに、内容はさまざま。

最近はサッカーJ2のアルビレックス新潟のプロジェクトが募集中で、過去には、酒蔵や老舗の料亭などのプロジェクト募集もありました。

他の求人サイトには掲載されていないような、新潟ならではの仕事を発掘しています。せっかくやってもらうなら、なかなか経験できない仕事をしてほしいですから」と室田さん。

期間も、企業により異なります。フライヤーのデザインを1つ仕上げて完了するものもあれば、サービススタート時から現在まで1年半続いているものもあるそうです。

応募する際は、サイト登録をし、エントリーシートに経歴や志望動機などを記入します。気になるプロジェクトがあれば応募すると、エントリーシート選考や面接がおこなわれます。それが通れば、企業と業務委託契約を結び、副業スタートです。

ともるいのサイトを見ると、常時、複数のプロジェクトの募集がある。新潟県内の企業が中心だが、他県もある

副業から始めて、働き方や生き方の自由度を上げていく

サービス立ち上げのきっかけは、室田さんが大学院生時代にインターンとして過ごした東京で、ある疑問を抱いたことでした。

東京で働いてみて感じたのは、楽しそうに仕事をしている人が想像以上に少ないことでした。なかにはすっかり消耗している人も……。
Uターンや地方移住など違う働き方もあるなかで、それでも東京で働く理由は何だろうと疑問に感じていたのです。

理由はシンプルで、働く=場所に縛られているから。それを解消することができれば、もっと自由に好きな場所で働けるかもしれないと思いました。

ただ、僕自身も東京で働きながら地方で副業を経験しましたが、いきなり転職や移住することは難しい。なので、まずは副業から、そこからグラデーション的に地方に関わってもらう。そうすることで、働き方や生き方の自由度が上がるのではないかと考えました」(室田さん。以下同)

新潟に愛着がわく人が続々と。第2のふるさとができる、ビジネスに生かす学びが得られる

2020年2月スタートの同サービスは、8案件からのスタートでした。コロナ禍に入る前から準備していたものの、その後、一時休止。2020年秋に再開し、現在まで約70件のプロジェクトの募集があり、うち6割がマッチングしています。

現在、登録者は約800名。東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏の方が7割を占め、大阪・兵庫・京都の関西圏が1割、新潟が1割、その他の地域の方が1割。
年齢層は20~30代と若い層が多く、「入社して数年が経ち、会社で身につけたことを誰かのために役立てたい」という思いを持つ人が多いそうです。

なかには、オンライン面談中に「これからそちらに伺ってよいですか?」と新幹線に飛び乗り、5時間後には企業を訪問していたという、熱意のある方も。

お金を稼ぐことが目的なら、都会で副業や転職をしたほうが稼げます。だけど、それをしない。誰かの役に立ちたい、地方に貢献したいという思いはふるさと納税に近い感覚なのかもしれません。また、都会の企業では経験できない価値観やつながりを体感できることも利用する動機になるのではないかと思います

また、企業に想いをもって取り組んでくれる方が増えることにより、SNSでの発信が増え、一企業だけでなく新潟エリアが活性化することにも期待していると室田さんはいいます。

実際、体験したワーカーからは、「働いてみたら新潟に愛着がわいて、今では第2のふるさとのように思っている」「副業をしたことをきっかけに新潟に興味を持ち、旅行で初めて新潟を訪れた」という声が多く聞かれるそうです。

本業に結びつく経験になった方もいました。
地方向けのサービス展開を考えていたビジネスパーソンが、都会との考え方の違いを知ることができ、大きな学びになったという声もいただきました

ともるいを運営するスタッフの皆さん

都会からの新しい風が入ることで、企業側にもメリット

都会からの新しい風が入ることで、企業側にもメリットが生まれています。

受け入れ企業は副業人材を雇ったことのない企業ばかりでしたが、その大半から「副業人材が来てくれて非常に良かった」という声が聞かれたそうです。

「こういう仕事の切り出しができることに、驚いている方が多いですね。また、ピンポイントでアドバイスを得られたり、こうしたらどうだろうかと一緒に考えてくれたりと頼りになる仲間を得たことで、やりたいことに挑戦する風土が生まれた企業もありました。
くり返しご利用いただく企業さんもいますし、利用した企業さんからのご紹介で案件をいただくことも増えています」

好きな人と、好きな場所で、好きな暮らしを

室田さんは、「新潟県を地方で1番副業を活用する県にすること」を今年度の目標に掲げています。
また、「副業」ではなく「複業」を広めることも室田さんの叶えたい目標です。

“好きな人と、好きな場所で、好きな暮らしを”というのが、僕たちのつくりたい社会。1つの会社で働くのではなく、1つの場所に住むのではなく、複数のつながりをもつ社会です。副業だけではなく、居場所、職、住む場所、移動の『居職住移(いしょくじゅうい)』をサポートできるようになりたいですね。ただ、自分たちだけでは難しいので、共感してくれる人たちと協力してつくっていきたいです。
実現することができれば、今よりたくさんの人が笑顔で働くことができて、楽しく暮らせるのではないかと思っています」

2020年、そして2021年は、1度も会ったことがない人と仕事をした方もいるのではないでしょうか。少し寂しさを感じながらも、新しい知識や経験を得られた方も多いはず。その知識や経験を1か所に留めておくことは、将来の可能性を狭めてしまうのかもしれません。
都会とは違った環境で自分の力を役立てる、地方に貢献する。そこでの経験は、必ず自分自身を成長させ、これから先の「居職住移」の選択肢を広げてくれることでしょう。
新潟がふるさとの方も、新しいつながりがほしい方も、ぜひ一度、「ともるい」をのぞいてみてはいかがでしょうか。


【「ともるい」のポイント】

  • 都会で働きながら、会社をやめずに副業ができる
  • 新潟ならではの仕事に出会える
  • スポット的な仕事から長く続くプロジェクトまで、期間はさまざま
  • ふるさとができる、新しいつながりができる
  • スキルや経験よりも、役に立ちたいという気持ちを重要視している

【問い合わせ先】
ともるい(運営元:(株)Riparia)
https://tomorui.jp/

井上かほるライター

投稿者の過去記事

北海道生まれ。北海学園大学人文学部日本文化学科卒業。
求人広告の営業職、専門学校の広報職を経て2019年よりライターとして活動スタート。
おでかけ情報誌、人材関連企業メディア、マンガレビューサイトなどに執筆、専門学校のタグライン制作や求人広告文制作など。
趣味はBリーグ観戦、落語鑑賞、映画鑑賞など観ること多め。休みの日は、妹と暮らすうさぎさんを愛でています。

PAGE TOP
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。