「このままのキャリアでいいのか疑問。自分の納得がいくキャリアを築き上げたい」
そんな人をサポートしよう、と長野県塩尻市のNPO法人MEGURUが今年8月から始めるプログラムが「KO・E・RU(こえる)」です。
「KO・E・RU」を一言で言うと、「非日常体験を通して自分らしい働き方を見つける、実践型のキャリア構築プログラム」。長野県在住のビジネスパーソンを対象としているそうですが、一体どんな内容なのでしょうか。
「KO・E・RU」を生み出したKO・E・RUプロジェクトマネジャーの竹中亮太さん(※写真右)とMEGURU代表理事の横山暁一さん(※写真左)にお話をお伺いしました。
もくじ
キャリアを見つめ直す機会がない……。解決策として「非日常体験」に着目
そもそも「KO・E・RU」を立ち上げたきっかけは、竹中さんが精密機器メーカーのエンジニアとして働くなかで「自分自身のキャリアをじっくり考える時間が持てない」と感じていたことでした。
「『本当は自分はどんな仕事がしたいのか』『働くことを通して何を実現したいのか』。仕事を始めてしばらく経ってから、そんな疑問を抱き始めたのですが、目の前の仕事で手一杯の毎日を送っていて、キャリアを振り返る時間が持てませんでした。そんな状態で働いていたところ、3年前に仕事のプレッシャーでうつ病に。しばらく休職した後、元の職場に復帰できたのですが、自分のキャリアに対するモヤモヤは晴れないままでした」
その解決手段として着目したのが「非日常体験」でした。竹中さんは、塩尻市の地域創生に取り組む横山さんと出会い、お互いの原体験や思いを話すなかで、横山さんから提案されたのが、「非日常体験」でした。
パーソルキャリアの社員でもある横山さんは、2019年に兼業の形で、塩尻市の地域おこし協力隊に着任し、塩尻商工会議所の地域人材アドバイザーとなります。そのチャレンジのきっかけになったのが、鳥取県の智頭町での非日常体験プログラムでした。
「会社の地域課題解決プログラムだったのですが、まったく馴染みのない場所で、背景の違う人たちと一緒に協働したことが、自分自身を見つめ直すことにつながったのです。会社という枠組みの中に捉われてしまっていた自分に気付きました。その枠組みから外れたときに、自分自身の在りたい姿が見えてきたんです。今回も同様に、非日常空間に身を置けるプログラムがあれば、キャリアをじっくり考える良い機会になるのではないか、と考えました」(横山さん)
竹中さんと横山さんが中心となってMEGURUのメンバーと半年にわたって議論を重ね、「KO・E・RU」が誕生しました。
非日常体験→内省→行動の3ステップ。最後までサポート
「KO・E・RU」の特徴は、一般的な企業に勤めていたらできないような非日常体験ができること。たとえば、農家で農業体験をしたり、木曽漆器の職人さんの元に行って話を聞いたりします。
「ただ、体験するだけでは、『ああ、面白かった』で終わってしまいます。その体験を元にキャリアを考え、実際の行動に移せるように、最後まで伴走する。これが、『KO・E・RU』の最大の特徴です」(竹中さん)
「KO・E・RU」のプログラムは、次の3つのステップでおこなわれます。
ステップ1 自然・農業・伝統工芸などの非日常体験を通して自分自身を見つめ直す
自然に触れる、農業に触れる、伝統工芸に触れるなどの非日常体験を通して「自分は何を思い、どう感じたか」という自分の気持ちを元に、自分と向き合います。
「非日常体験は、自分の中で無意識に固まってしまったものの見方に気づかせ、そこから自分を解放します。その中で『自分のありたい姿』を見出していけると考えています」(竹中さん)
ステップ2 内省し「自分のありたい姿」を言葉にする
ステップ1の非日常体験を踏まえて、「自分はどのように働いていきたいのか?」「人生において『働くとは?』」などを考え、参加者同士やKO・E・RUのスタッフとディスカッションします。
「非日常体験で湧き上がってきた自分の感情をちゃんと言葉にしないと、ただ体験しただけで終わってしまいます。自分を内省し、自分はどうありたくてどう働きたいのかを、自分の言葉で言えるようにすることで、次につながっていくと考えています」(竹中さん)
ステップ3 小さな一歩を踏み出す
自分らしい働き方がわかったとしても、実際に行動しなければ意味がありません。ステップ2で言葉にした「自分のありたい姿や自分らしい働き方」に向かって、具体的な行動ができるようにKO・E・RUがサポートしていきます。もし関わりたい仕事があったら、KO・E・RUがその仕事を実践している人につなぎます。
「その実践者と直接話したり、一緒に活動していったりすることで、思い描いたキャリアの擬似体験をします。副業やプロボノなど、小さな一歩でも良いので、とにかく行動することが、キャリアの実現に着実に近づきます」(竹中さん)
第1期プログラムの詳細は?
今年8月から始まる第1期のプログラムは、以下のように進む予定です。
▼Day1 8月7日 自然と農業に触れる
農家の話を聞き、農業体験を通して自然の営みを感じる中で、どんな気持ちが芽生えるか何を感じるのか、矢印を自分に向けて見つめる
▼Day2 8月28日 伝統工芸の職人に触れる
400年以上続く伝統産業・木曽漆器の職人の元へ。伝統を受け継ぐ職人と対話し、その価値観と世界観に触れることで、自分の価値観やキャリアなどを見つめなおすきっかけを得る
▼Day3 9月11日・12日 「再度農業へ、そして自分のありたい姿を言葉にする」
Day1に引き続き、農業体験で自然に触れる。さらにワークショップを通してDay1、Day2の体験を振り返り、「自分はどうありたいか」を言葉にする。
▼Day4 9月25日 「自分らしい働き方を形作る」
キャリアの専門家の講演&トークセッションとワークショップを通して、キャリアの多様性を知り、自分の「ありたい姿」や「大事にしたいこと」が交わる自分らしい働き方を見つける。
▼〜自分らしい働き方の擬似体験〜 3週間
Day4で形作った自分らしい働き方を擬似体験する。自分が思い描く「自分らしい働き方」をしている人に直接会って話したり、副業やプロボノなどで一緒に活動していったりと、自分らしい働き方を実際に体験することで、実感を持って次の一歩へと踏み出す。その時に思ったことや、本当にそれが自分が望むものなのかを確認し、Day5でそれを言葉にする。
▼Day5 10/16 3ヶ月間の振り返りと新たなスタート
プログラム開始からの3ヶ月間で、自分が何を思い、どんな行動をし、何が変化したのかを振り返り、これからどんな行動していくのかを、自分の言葉でみんなに伝える。
▼10月中旬〜1か月間 アフターセッション「スタートしたあとのフォロー・伴走」
プログラムを通して出会った「自分自身のありたい姿」や「自分らしい働き方」の実現に向かって行動を続けていくために、KO・E・RUのメンバーが多様なサポートを行う。思考の整理、参加者同士のピアメンタリング、次の一歩の方向性を一緒に検討、サポートしてくれる外部人材の紹介など、一人一人に寄り添いながらサポートしていく。
年齢不問。長野県在住の人が対象
気になる参加費は、1回・4万9500円(税込み)
参加できるのは長野県在住の人。「三大都市圏だけでなく、長野のような地方都市に住んでいても多様なキャリアが実現できる土壌をつくりたいと考えています。年齢は20~30代の方々はもちろん、40代以上の方の応募も歓迎です」(竹中さん)
7月11日に、説明会を兼ねたプレイベントを開催
「KO・E・RU」についてもう少し詳しく知りたいという人のために、7月11日(日)20:30〜21:45に、説明会を兼ねた以下のオンラインプレイベントをおこないます。詳細は以下です。
~人生100年時代を生き抜くキャリア戦略~」
7月11日(日)20:30〜21:45(zoom)
1.講演 非日常体験から生まれるキャリア変容のヒント
ゲスト:パーソル総合研究所・出濱 義人さん
新人~管理職~次世代経営者層(役員層)の研修プログラムの企画・運営を経験し、ビジョン浸透プロジェクトや組織活性化プロジェクトなど各種プロジェクトを主導。近年は、長野県木曽町や鳥取県智頭町、岩手県遠野市などさまざまな地域を舞台にした対話や体験(五感)を通して自らのありたい姿に触れるプログラムや地域課題解決プログラム等を実施している。
2.自分らしい働き方を実践する、2名によるキャリア講演
ゲストスピーカー:西野有香(ニシノ ユカ)さん
大手メーカー勤務 × 旅する珈琲屋「読点珈琲」
スピーカー:保延 祐希(ホノベ ユウキ)さん
アウトドアブランド × スタートアップ × NPO
3.登壇者3名によるディスカッション
参加を希望される方は、「KO・E・RU」のサイト(https://www.koeru-meguru.com/)でお申し込みください。
「一度きりの人生を、自分らしく幸せに働く人生にしていく。その第一歩を踏み出せるよう、全力でサポートしていきます。少しでもご興味のある方は、ぜひプレイベントにご参加ください」(竹中さん)
【KO・E・RUの特徴】
- 申し込み締め切りは、2021年8月5日 23時59分まで
- 非日常体験を通じて、自分のキャリアを見つめ直すプログラム
- 非日常体験→内省→行動の3ステップによって、確実に実践へと導く
- 期間は3カ月間。第1期は2021年8月~
- 参加費は4万9500円(税込み)
- 長野県在住者が対象。年齢は不問
- 令和3年度「長野県地域発元気づくり支援金」を活用して実施しています。
【問い合わせ】
NPO法人MEGURU(※KO・E・RU運営元)