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【副業にもつながる】地域の課題解決に取り組める実践型オンラインコミュニティ「塩尻CxO Lab」って何だ?

「副業やボランティアなど、何らかの形で地域の課題解決に取り組んでみたい」

そう思うものの、とくに専門スキルがあるわけではなく、自分に何ができるのかわからない。結局、何も行動に移せていない……という人は少なくないようです。

もしそんなふうに悩んでいるなら、地域課題解決を目的としたオンラインコミュニティ「塩尻CxO Lab」から始めてみても良いかもしれません。

実施団体は、長野県塩尻市。塩尻市は、今までにも地域に関わる人材を増やしながら、地域課題解決プログラムを推進してきた実績があります。

昨年8月から第1期をおこない、現在、今年7月から始まる第2期のメンバーを募集しているという「塩尻CxO Lab」。具体的にどのようなことをするオンラインコミュニティなのでしょうか。

このコミュニティを運営する塩尻市役所企画政策部の山田崇さんと、NPO法人「MEGURU」代表の横山暁一さんにお話を伺いました。(Text: 竹中 唯)

「塩尻CxOLab」を運営している、塩尻市役所企画政策部の山田崇さん(写真・右)と、NPO法人「MEGURU」代表の横山暁一さん(写真・左)

関係人口を増やすために「塩尻CxO Lab」をスタート。第1期は27名が参加

塩尻市が「塩尻CxO Lab」を立ち上げた目的は、地域づくりの担い手となる、地域外の⼈材「関係人口」を増やすことです。

塩尻市では、以前より関係人口の創出事業をおこなってきました。2019年には副業で関わる特任CMO(最高マーケティング責任者)やCHRO(最高人事責任者)を募集したところ103名の応募があり、そのうち2名が着任。地域課題に取り組み、戦略提案や法人が設立されるまでに至りました。

ほかの応募者からも合計8名が塩尻市特任CxOに選ばれており、それぞれの専門性を発揮しながら継続的に地域課題に携わっています。

こうした関係人口創出の流れを加速させるために、塩尻市は2020年に総務省の関係⼈⼝創出・拡⼤事業のモデル事業に応募。長野県唯一のモデル団体に採択されました。その事業の一つとして始めたのが、「塩尻CxO Lab」です。

その目的について、横山さんは次のように語ります。
「地域での副業やボランティアに興味を持つ人は増えていますが、最初はその地域で何を成し遂げたいのかが明確になっていない人も多いはずです。その状態でいきなり副業などをしても長続きせず、働く人にとっても企業にとっても良いことはありません。

そこで、まず地域の人との交流を通じて、その地域でどんなことに関わりたいのか、興味を発掘していただく。そのプロセスを経て、副業などをしてもらった方が良いのではないかと考えました。この『興味の発掘』の役割を果たすのが、『塩尻CxO Lab』です

長野県塩尻市の「関係人口創出・拡大事業」の全体像。③の「オンラインを活用したコミュニティ」が塩尻CxOLabで、②④⑤にも関わる)

地域の方と連携。課題解決へ向けた「仕様書」を、一緒に作成する

「塩尻CxO Lab」は半年間と限られた期間のなかで、さまざまな取り組みをおこないます。

なかでも、メインプログラムといえるのが、「地域課題を解決するための『仕様書』の作成」です。

塩尻市は、市内の企業・団体が地域課題を解決する上で、次のことを改善する必要があると考えていました。
それは、「具体的にどのように地域課題を解決するのか、取り組みの『仕様』が明確になっていないこと」です。

地方の企業や団体は多くの課題を抱えていますが、何から手を付けていいかがわかっていないことが少なくありません。しかし、仕様が固まっていない状態で副業人材を呼んだところで、上手く活用できずに終わってしまいます。

「そこで考えたのが、塩尻市内の企業や団体などの『テーマオーナー』と、塩尻CxO Labのメンバーが話し合って、仕様書を作成すること。地域外の人の客観的な視点を活用することで、本当の課題を掘り出せて、取り組むべきことが明確になると考えたのです」(横山さん)

ここでの「仕様書」とは、塩尻市の課題へと深く迫り、解決に向けて方向性を示す計画書のようなシートです。
具体的には、「現在、直面している課題」「課題対象の成り立ち」「目指す成果」などを詳細に記載することで、課題の焦点を明確にします。

「塩尻CxO Lab」のメンバーは、地域の課題を抱えているテーマオーナーとオンライン会議を重ねながら、仕様書を作成していきます。そうすることで、地域課題の解決に深く関われるだけでなく、本当に塩尻で地域課題の解決に取り組みたいかどうかが見えてくる、と横山さんは言います。

テーマオーナーと一緒に仕様書を作成する過程で、地域では具体的に何が起きているのか、誰がどう困っているのかなど、地域がリアルに見えてくると思います。
テーマオーナーと心を開き合い、話し合い、地域との関係性を深めることで、地域への愛着や、その課題に対する当事者意識が高まるというわけです
」(横山さん。以下同)

仕様書を精緻に作成できるよう、作成前には、仕様書作成におけるワークショップや、クリティカルシンキングなどの研修を受けます。これらは今回のプロジェクトだけでなく、本業の場面でも役立つことでしょう。

「塩尻CxO Lab」はオンラインコミュニティだが、第二期ではシビック・イノベーション拠点であるスナバでのリアルな交流も検討中

参加したい課題が見つかれば副業に応募する

2カ月間で「仕様書」が完成したら、それをもとに、各プロジェクトが「副業人材の募集」をおこないます。副業人材には、リモートで3カ月間、関わってもらいます。

副業募集にエントリーするかどうかは、メンバーの自由。参加したい課題があれば応募するスタイルです。

「副業人材はCxOメンバー以外からも募集するので、必ず関われるとは限りませんが、自分が作成にかかわった仕様書を実行に移す体験ができれば、地域課題解決の喜びや難しさを味わえるでしょう」

その他にも、「塩尻CxO Lab」のメンバーには、

  • 著書『日本一おかしな公務員』で知られ、このコミュニティの運営をおこなう塩尻市職員の「山田崇オンラインラジオ」を無料で聞ける機会
  • 塩尻市特任CxOメンバーとの交流会への参加権
  • 市内17ある各ワイナリーのおすすめワインのプレゼント

など、塩尻市を身近に感じられるさまざまな特典があります。

設定テーマ以外のプロジェクトも進行中。地域との関係性から可能性が生まれる

2020年8月から2021年1月までの第1期では、27名が参加。以下のプロジェクトに関して、仕様書の作成に取り組みました。

  • (1) 株式会社HYAKUSYO・株式会社東芝(WaiNariを活用した地域資源の可視化による販路拡大プロジェクト)
  • (2)株式会社大河内家具工房(伝統工芸の作り手の存続に向けた、「仕事を自分事化できる」職人人財の育成)
  • (3)塩尻市シティプロモーション活動協議会・東日本旅客鉄道株式会社長野支社(あずさ沿線のテレワーク施設をハブとした関係人口創出プロジェクト)
  • (4)株式会社TUG BOAT・辰野町地域おこし協力隊(「お困りごとtrip」の推進による未来の里山共創プロジェクト)
  • (5)塩尻市シティプロモーション活動協議会・春日部市役所(“まちを好きになる”から始まる、まちのプロモーションプロジェクト )

参加者は、取り組みを通じて地域の方々と親しくなったり、関係人口同士で交流したりする中で、塩尻市との関係が深まったことを感じられたそうです。

そこから発展し、期間を終えた後にも企業との関わりを持ち続け、今でも副業を続けている方もいます。

また、地域に関わるうちに、設定されたテーマ以外の課題が見えてきたことから、30件の新たなプロジェクトがスタートしたそうです。さらには、塩尻市に本社登記する起業家も現れました。

関係構築によって、参加者の興味や専門性を活かすプロジェクトが、容易に生まれる環境ができあがりました。参加者に、塩尻市の課題を自分事として捉えていただいた結果でもあると思います

前回は、コロナの情勢によってすべてオンラインで行われたことから、参加者同士が直接会うことはありませんでした。塩尻市の現地の雰囲気を伝えることは難しかったそうですが、チームになって仕様書の作成を進めることにおいては、特に問題はなかったそうです。

今年は、時勢を見極めながら、塩尻市内でのオフライン交流会も予定しています。

塩尻市に足を実際に運んで、今までオンラインで対話していた方と顔を合わせることによる、コミュニティの盛り上がりを期待します。そして、より塩尻市に愛着を持ってもらえる機会になるといいですね」(山田さん)

地域と関わる理由を改めて認識、そして正解のない地域課題に取り組む

第2期は、2021年7月からスタートし、12月までおこなわれます。現在メンバーを募集中で、本格的な地域課題解決プログラムは8月からを予定しています。参加者の年齢や能力などは不問。第2期の会費は2万円です。

今回もさまざまな地域課題を抱えるテーマオーナーが集まる予定です。地域の課題解決や地域のコミュニティへ関心を持っている方にご参加いただきたいですね。

地域に関わりたいという想いを持ちながらも、なぜ地域で課題を取り組みたいのか、明確になっていない方もいらっしゃると思います。自分自身が地域でどのように関わっていきたいのか、明確にするきっかけのひとつとして、この『塩尻CxO Lab』にご参加いただければと思います
」(横山さん)

前回は、参加者とのお話を通して見えてきた参加者の経験ややりたいことをベースにして、新しいプロジェクトをこちらでコーディネートすることもありました。
正解のない地域課題を解決することを目指す、地域の担い手として関わってくれる方に、ぜひご参画いただきたいですね
」(山田さん)

おすすめワインがプレゼントされるキャンペーンの入会締切は2021年6⽉30⽇(水)と迫っています。
入会申込みの締切は2021年7⽉31⽇(土)です。

地域と主体的に関わりたいと思う方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

「塩尻CxO Lab第2期参加者募集イベント」のお知らせ

締切当日の6⽉30⽇(⽔)には、参加者募集イベント(オンライン)「塩尻CxO Lab第2期参加者募集イベント」を、21時~22時15分におこなう予定です。参加無料なので、少しでも興味のある方はのぞいてみては?
※ Peatixのイベントページからの申し込みが必要です。 https://shiojiricp.peatix.com/


【塩尻CxO Labのポイント】
・参加条件はとくになし。年齢に上限はなし
・参加期間は2021年7月1日~2021年12月31日(6カ月間)
・地域課題解決プログラム(仕様書作成・副業参画)は8月1日からスタート
・費用は20,000円(6カ月間)
・入会申込期限は2021年7月31日まで
・申し込みには、費用とFacebookアカウントが必要・入会キャンペーンはオススメのワインをプレゼント(2021年6月30日までの入会)

【問い合わせ】
塩尻CxO Lab
https://shiojiricxolab.onexxxx.com/

ABOUT ME
竹中唯
長野県生まれ。信州大学人文学部卒業。7年の会社員を経て、2019年より個人事業主としてライター活動開始。これまでインタビュー記事(働き方、病院運営、住宅、採用ページなど)やレビュー記事を執筆。 2012年〜公的保険機関にて病院経営に関する保険料算定審査、2016年〜部品製造工場にてリスクマネジメント、業務改善などに従事。30歳で副業ライターを始めて今に至る。山に囲まれる人生、海を見るとはしゃぐ。 ポートフォリオサイトは、https://taonagano.amebaownd.com/