※本記事は『オンリーワンのキャリアを手に入れる 地方副業リスキリング』(杉山直隆/著、南田修司/監修、自由国民社)の内容を再構成したものです。
もくじ
リスキリング、時間が限られているなか、何をする?
「リスキリングをしなければと思っているけれども、一体、何をすれば効果的なのだろうか……?」
リスキリングの必要性を意識し始めた個人が悩むのは、「時間の限られているなかで、何をするか」でしょう。
選択肢はさまざま。リスキリングに熱心な企業ならデータサイエンスなどのデジタルスキルやリーダーシップなどを学べる研修プログラムが用意されているでしょうし、社外に目を向ければ、多様なセミナーやスクールなどがあります。
ビジネススクールや社会人大学院も、国内の学校を選べば、週末を使って働きながら通えます。
資格も、ITや法律、マネー、心理学、キャリアなど、数多くの選択肢があります。
地方副業・プロボノはなぜ日本で広まった?
そうした定番の手段以外の選択肢で、「効果的なリスキリングができる」と注目を集めているのが、「地方副業」や「プロボノ」です。
「地方企業」とは、主に首都圏で働く人材が、地方の中小企業やNPOなどで副業をすること。「プロボノ」は本業のスキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動のことです。
「地方副業」にしても「プロボノ」にしても、もともとはリスキリングのためのものでありません。
先に日本で広まったのはプロボノです。1980年代以降に、アメリカの法曹界で広まった公益的な活動がそのはじまり。2000年代にアメリカやフランスで多様なジャンルのボランティアをおこなうプロボノ団体が立ち上がると、「本業のスキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動」をプロボノと呼ぶようになり、日本でも広まっていきました。
その後に始まったのが「地方副業」です。
きっかけのひとつは、2010年代、国が地域づくりの新たな担い手として、首都圏などの別の地域に住みながら地方と仕事やボランティアで関わる「関係人口」に注目したこと。
すると、首都圏で働く人材を地方の企業やNPO、地方自治体と結びつけるマッチングサービスが生まれ、副業をする人が少しずつ増えてきました。民間企業のサービスだけでなく、地方自治体が主体となってマッチングをおこなうプロジェクトも登場しました。
「地域活性化に関する高度な仕事」ができる
地方副業・プロボノの特徴は「地域活性化に関する高度な仕事」の募集が多いことです。
地域を活性化するためには、
- ・ 地域ブランディングの強化
- ・ 地域資源を活かした商品開発や新規事業の立ち上げ、販路の拡大
- ・ 観光客を誘致するための観光地の開発
- ・ 地域づくりを担う人材の育成
- ・ 少子高齢化時代に対応した住みやすい環境づくり
などさまざまな課題を解決することが必要であり、地方企業の多くもこれらの課題とリンクした事業をしています。社外の副業・プロボノ人材にも、一緒に課題解決に取り組んでほしいと考えています。
地域の中小企業は、都市部の大手企業に比べて規模も小さく、専門的スキルを有している人が必ずしも社内にいるわけではありません。だから、新たな取り組みをしたくても、その専門知識を持っている人がいないので進まない、という悩みを抱えています。
そこで副業・プロボノ人材の力を借りたいというわけです。
新商品開発、人事制度設計、社内DX支援…。仕事内容はさまざま
仕事内容はさまざま。たとえば、
- ・新規事業・新商品の開発
- ・新商品の販路拡大
- ・通販サイトの立ち上げ
- ・ブランディング戦略の立案・支援
- ・広報戦略の立案・実施
- ・SNSや自社サイトなどを活用したウェブマーケティング
- ・人事制度の設計
- ・新卒・中途社員の採用活動の支援
- ・業務の見直しや業務システムの刷新など、社内DXの支援
- ・生成AIの導入支援
といったことです。
案件にもよりますが、地方副業は受け入れ先企業の予算が少ないので、報酬が月数万円程度であることが多くあります。報酬が発生しないプロボノでの募集も少なくありません。
しかし、地域活性化に強い関心を持っている人や、首都圏で就職したけれども地元に貢献したい人にとっては魅力的な内容です。
また、マッチングサービスで募集している地方副業の大半は数か月~1年と期間が限定されていますし、オンラインミーティングが主体なので、本業やプライベートなどとのスケジュールも調整しやすいというメリットもありました。
そうした点に惹かれて、地方の企業で副業やプロボノをする人は徐々に増えていったのです。
※さらに「地方副業」「プロボノ」のポイントを詳しく知りたい方は、『オンリーワンのキャリアを手に入れる 地方副業リスキリング』(杉山直隆/著、南田修司/監修、自由国民社)をぜひご覧ください。