基本を知る

「地方副業」や「スタートアップ副業」で失敗しないための5カ条とは?

「30sta!」編集長の杉山です。

副業マッチングサービスを使って、地方の中小企業や首都圏のスタートアップで、ウェブマーケティング支援やシステム刷新、人事制度改革などの高度な副業をする人が増えています。オンライン会議システムが普及したことから、リモートワークで副業をしやすくなったことがその一因です。

しかし、新しい働き方なので、働く人も受け入れ企業も手探りの状態。それゆえに、トラブルが起こることもよくあります。

受け入れ企業側のマネジメントに問題がある場合もありますが、働き手のほうも受け身になっていてはいけません。働き手のほうも、仕事がスムーズに進むように行動することが大切です。

具体的には、以下の5カ条を頭に入れて行動すると、トラブルが起こりにくくなります。

1.「副業人材に求めることは何か」を最初に共有する

トラブルのよくある原因が、「副業人材に何を期待しているのか」。その認識が副業人材側と受け入れ企業側でズレていることです。

たとえば、受け入れ企業側は「副業人材にはアドバイスやアイデアだけでなく、実際の作業もおこなってほしい」と考えているのに、副業人材は「コンサルティングさえすればOK。実行するのは受け入れ企業の人たち」と考えている……。

これだけ認識がズレたまま仕事をしていると、どちらかが「話が違う」となり、トラブルの火種となります。

そうならないためには、「副業人材に求めることは何か」を面接の時点で共有することが必要です。さらには契約成立後、最初のミーティングでも確認しておくと、お互い安心できます。

2.相手のカルチャーやペースに合わせる

副業をすると、誰でも多かれ少なかれ、普段の職場との違いに戸惑うものです。普段、厳しい環境で鍛えられている人は、「仕事が遅すぎる」「もっと論理的に話してほしい」「仕事のやり方がいい加減」などと感じるかもしれません。

しかし、「もっと急いで仕事をしたほうがいいですよ」「仕事が雑すぎませんか」と相手を否定してはいけません。たとえ正論だったとしても、相手は「上から目線で言ってくる嫌な人だ」と不快感を覚えます。

そうした企業のカルチャーやペースは長年つくられてきたもので、簡単には変わりません。ひと目ではわからない良さもありますから、おかしいと思っても、いきなり否定するのはやめましょう。

まずは受け入れること。指摘するのは人間関係をきちんと築いてからでも遅くはありません。

3.要件定義を手伝う

本来、仕事を依頼するときは、どの仕事をどこまで依頼するのか、事前に要件を定義することが大切です。しかし、「地方企業の副業は、企業側が要件定義をするのは難しい」とよく言われています。

地方企業は多くの課題を抱えていますが、ヒト・モノ・カネが不足しているので、すべてに手を付けることはできません。そのため、優先順位をつけることが必要ですが、その判断が非常に難しいのです。

最善の方法は、副業人材も一緒になって要件定義をすることです。

受け入れ企業側とディスカッションして、はじめに決めた要件とは違うことをしたほうが良ければ、柔軟に変えていく。はじめに決めた要件に沿って、手を動かしてみて、そのまま続けるかどうかをディスカッションするのでも良いでしょう。

こうして最適な要件は何かを考えていくことで、受け入れ企業側も効果の高い施策ができるし、副業人材も密度の濃い仕事ができます。

4.ヒト・モノ・カネの感覚を変える

大企業に勤めている人は、普段、ヒト・モノ・カネを大きなスケールで動かしているかもしれません。たとえば、多額の広告費をつぎ込んだり、多くの人を投入したりといった具合です。

しかし、その感覚で、地方の中小企業に提案をすると、「私たちのことを分かっていない」と思われてしまう可能性が大です。

中小企業は想像以上にヒト・モノ・カネが不足しています。それを防ぐためには、最初に、予算や投入できる人員などをヒアリングして、どこまでのことができるのか、把握することが欠かせません。

5.専門用語を使わずに、わかりやすく話す

受け入れ企業は、自社に欠けている専門知識やノウハウを、副業人材がもたらしてくれることを期待しています。

しかし、その期待に応えようとするあまり、専門用語を多用することが避けましょう。皆が皆、理解できるとは限らないからです。

わからない言葉ばかり使うと、受け入れ企業の人たちは「自分たちに寄り添ってくれていない」と感じてしまいます。相手の知識量を見ながら、わかりやすく話すことが重要です。


これから地方の中小企業やスタートアップで副業をしようとしている人は、以上の5つを意識すると、仕事がスムーズにいくはずです。

ABOUT ME
杉山 直隆
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部在学中に、経済系編集プロダクション・カデナクリエイトでバイトを始め、そのまま1997年に就職。雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・執筆を、20年ほど手がけた後、2016年5月に、フリーのライター・編集者として独立。2019年2月に(株)オフィス解体新書を設立。『週刊東洋経済』『月刊THE21』『NewsPicks』などで執筆中。二児の父(11歳&8歳)。休日は河川敷(草野球)か体育館(空手)にいます