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本業ではできない仕事を経験するとどんな化学変化が?「地方副業」で得られる7つのリスキリング効果

※本記事は『オンリーワンのキャリアを手に入れる 地方副業リスキリング』(杉山直隆/著、南田修司/監修、自由国民社)の内容を再構成したものです。

直接的にも間接的にもリスキリングにつながる

地方副業・プロボノの大きな魅力のひとつは、本業では経験できない仕事をすることで、直接的にも間接的にもリスキリングにつながることです。具体的には次の7つの効果が期待できます。

1.課題解決の引き出しが増える

新たな職場で仕事をすると、自分は考えつかなかったような仕事のやり方や課題解決のアプローチに触れることができます。そうした大小さまざまな経験をしていくと、課題解決の引き出しが増えていきます。なかには本業にすぐ応用できることもあるでしょう。

とくに中小企業は、計画や戦略を作り込まずにできることからやってみる、アジャイル開発のような仕事の進め方をすることがよくあります。もちろん、その方法が常に良いというわけではありませんが、選択肢が増えることは間違いなく本業でもプラスに働きます。

2.未知の仕事の知見が得られる

「未知の仕事の知見が得られること」も、地方副業・プロボノの効果の一つです。

20代ならともかく、30歳を過ぎると、新しい仕事にチャレンジすることが難しくなってきます。転職市場ではこれまでの経験が求められますし、転職できたとしても、本人がまったく違う仕事をすることに抵抗を感じるかもしれません。

しかし、数カ月限定の副業なら、新しい仕事に挑戦させてもらえることがあります。仕事によっては、「常識にとらわれない人の考えが欲しい」という受け入れ先のニーズがあるからです。

ある受け入れ先企業では、商品開発をするにあたって、あえて商品開発の経験がない副業人材を集めたといいます。

大手メーカーに勤めるAさんは、そうした企業のニーズにうまく合致し、新しい仕事にチャレンジできました。酒造会社で新商品の開発を担当し、デザイナーの選定やデザイン案の指示、ネーミングのアイデア出し、メディアへのアピール、クラウドファンディングの活用などを行いましたが、これらはすべて初めて経験する仕事でした。

一度でも仕事をしてみると、その仕事では何が大切なのか、勘所が見えてきます。今後同じようなノウハウが必要な仕事をするときに、生きてくることでしょう。

3.学んだ知識を、生きたスキルに昇華できる

ビジネススクールに通っている人や資格を取得した人、独学で専門知識を学んだ人に共通する悩みは「学んだ知識を実践する場がないこと」です。

お金も時間もかけて苦労して学んだとしても、その知識を実践の場で活かせなければ、宝の持ち腐れです。現実のビジネスの場でフル活用してこそ、学んだ知識が生きた知識となり、実践的なスキルへと変わります。

そんな「実践できる現実のビジネスの場」といえるのが、地方副業・プロボノの現場です。

IT企業に勤めるBさんはデジタルマーケティングのツールについてセミナーや書籍などで学びましたが、なかなか本業で使う機会がありませんでした。しかし副業先でデジタルマーケティングの支援をしたことで、現実のビジネスでツールを使うことができ、生きたスキルを身につけることができました。

短期間のうちにトライ&エラーを繰り返せたのは、できることからどんどんやっていく中小企業ならではといえるでしょう。

4.新たなスキルを身につける必要性に気づく

本業ではできない仕事をすることで、自分に足りないスキルが見えてくることもあります。

たとえば新商品の販促の仕事をしたときに、SNSマーケティングに関する知識の不足に気づくといった具合です。

資格にしてもセミナーにしても、「はっきりした目的はないけれど、なんとなく役立ちそうだから」と目的意識があいまいだと、勉強に身が入りにくいものです。

しかし、地方副業やプロボノで「それを学べば確実に役立つ」ということがわかれば、学ぶモチベーションも上がりますし、吸収もしやすくなります。

5.アンラーニングのきっかけになる

アンラーニングとは、時代の変化によって陳腐化したスキルや知識を捨てて、新しいスキルや知識を身につけることです。

たとえば営業やマーケティングのスキルは日々進化しています。陳腐化しているかどうかは自分では気づきにくいことですが、地方副業やプロボノによって他業界の仕事の方法に触れることで、「実は自分は遅れているのではないか」と気づくことができます。

6.自分の意外な強みに気づける

新たなスキルの必要性に気づく一方で、自分では思っていなかった自分の強みに気づくこともあります。

強みというと、専門スキルを思い浮かべるかもしれませんが、それだけではありません。気づきにくいのは、どこの業界にでも持ち運べるポータブルスキル。たとえば、ファシリテーション能力、根回し・調整能力、リスク管理能力などです。

「今までやってきた仕事は大したことがない。人に言えるスキルなんてない」と思っていても、小さな会社で働いてみると、重宝されることは少なくありません。

自分では強みと思っているけれども、本当に強みなのかを確認することもできます。どんなに実績を上げている人でも、一つの会社だけしか勤めたことがないと、自分が他社で通用するのか、不安になるものです。地方副業・プロボノをすることで、自分が通用するかどうかを確認できるでしょう。

7.異なるバックグラウンドを持つ人と協業するノウハウが得られる

普段、同じ会社で働いている人とは、たとえ部署が違っていても話が通じ合えるところがあります。これは、前提知識や使っている用語などを共有しているからです。また同じ会社で働いていると、自然と価値観が似てくる面もあります。

ところが地方副業やプロボノでは、受け入れ先の社長やスタッフ、あるいは一緒に働く副業者やプロボノとはバックグラウンドが異なりますから、価値観や前提知識、使っている用語がバラバラです。

同じ業界の人なら少しは分かり合えることもありますが、業界が異なると考え方がまったく違います。そういう人たちと協業するのは難しいことに気づくでしょう。

もっともバックグラウンドの異なる人と試行錯誤しながら仕事をすると、協業するときに大切なことがわかってきます。たとえば「共通言語で話すこと」はその一つです。ダイバーシティの重要性が叫ばれるなか、これからは必須のスキルといえるでしょう。


※さらに「地方副業」「プロボノ」のポイントを詳しく知りたい方は、『オンリーワンのキャリアを手に入れる 地方副業リスキリング』(杉山直隆/著、南田修司/監修、自由国民社)をぜひご覧ください。
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ABOUT ME
杉山 直隆
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部在学中に、経済系編集プロダクション・カデナクリエイトでバイトを始め、そのまま1997年に就職。雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・執筆を、20年ほど手がけた後、2016年5月に、フリーのライター・編集者として独立。2019年2月に(株)オフィス解体新書を設立。『週刊東洋経済』『月刊THE21』『NewsPicks』などで執筆中。二児の父(11歳&8歳)。休日は河川敷(草野球)か体育館(空手)にいます