都会にいながら、副業として地方企業で働くーー。
副業を解禁する企業が増え、マッチングサービスが次々と誕生。副業経験者が増加中です。
本業も副業もオンラインで完結できるようになり、どこでも働ける時代になりました。
多様な副業マッチングサービスがあるなかで、人材関連事業大手、パーソルグループのパーソルイノベーション(株)が手がけているのが、地方特化型副業マッチングプラットフォーム「Loino(ロイノ)」(https://loino-p.jp/)です。
2020年12月よりサービスを開始してから半年ほどですが、全国各地に副業先を拡大中です。また、すでに多くの副業希望者が登録し、受け入れ企業からは高く評価されているそうです。
いったいどのようなサービスなのか、Loino事業責任者の野垣雄次さんにお話をうかがいました。(Text:井上かほる)

もくじ
就職や転職だけではなく、副業もパーソルでおこなう
サービス立ち上げのきっかけは、野垣さんがグループ会社のパーソルキャリアに所属していた3年ほど前に遡ります。
「仕事柄、内閣府や地方の金融機関の方と地方企業の慢性的な人材不足について話をしていました。事業の継続や拡大をしたくても、それができる人材が足りていない。反対に、副業解禁や現在のようなテレワーク環境により、副業を希望する方は増えています。
すでに副業マッチングサービスをおこなっている企業は出てきていましたが、『就職や転職だけではなく、副業支援もパーソルでやってほしい』という、ありがたいお声をいただき、パーソルグループ内の新規事業プログラム制度から立ち上げることになりました」(野垣さん・以下同)
事業フェーズの異なる、バラエティに富んだ案件がある
Loinoの大きな特徴は、全国のバラエティに富んだ副業案件を取り揃えていることです。
全国各地に拠点があるパーソルのネットワークを活用し、地方自治体や全国の金融機関と連携して、多様な地方企業の案件を発掘しています。
たとえば鳥取県とは「とっとり副業・兼業プロジェクト2021」を推進し、2022年2月までの4回に渡る募集期間を通じ、100名100社のマッチングを目指しています。
掲載している案件の企業規模は、社員数名から数百名までと幅広く、業種もメーカーや各種サービス業、IT関連、広告業などがあります。
具体的な副業の内容は、コロナ禍でネット販売(もしくはEC)に力を入れる企業が増えていることから、WebマーケティングやSNS活用に関する案件が数多くあります。その他、新規事業開発や、人事制度・採用手法の見直しなどをサポートしてほしい、という案件もあります。

たとえば、2021年6月30日時点では、以下のようなプロジェクトが掲載されていました。(一部抜粋)
◎Webマーケティングのアドバイス
栄養バランスが心配な方に向けた食品セットを販売している。Instagramを活用して情報発信することで、自社の認知度向上につなげていきたいと考えている。
【必須経験・スキル】企業におけるSNS(Facebook、Instagram、Twitter)活用のご経験がある方
【月間稼働時間】 12〜16時間
【勤務場所】 リモートワーク中心
【月額報酬】 4万円
【契約期間】 3か月間
◎都市部への販路開拓
今まで都市圏での営業活動は行ったことがないので、どのように営業活動をしていけば良いかから考えて実行していただける方を募集。
【必須経験・スキル】営業のご経験をお持ちの方
【月間稼働時間】 12〜16時間
【勤務場所】 リモートワーク中心
【月額報酬】 4万円
【契約期間】 3か月間
◎自治体運営の観光サイトでのライター業務
観光サイトに掲載する県内観光地の取材記事の作成。実際に観光地を訪れていただき、写真撮影と体験記の執筆をお願いしたい。
【必須経験・スキル】webページの記事のライティングに関して豊富な経験を有していること、webマーケティングに関する豊富な専門知識と実務経験を有していること
【月間稼働時間】 16〜20時間
【勤務場所】 リモートワーク中心
【月額報酬】 4万円
【契約期間】 3か月間
◎人事制度の作成
評価や昇進制度を整備し、働き甲斐のある会社にしていくためのアドバイスをお願いしたい。
【必須経験・スキル】評価や昇進等の人事制度の構築経験をお持ちの方
【月間稼働時間】16〜20時間
【勤務場所】リモートワーク中心
【月額報酬】4万円
【契約期間】3か月間
上記は抜粋ですが、実際には、仕事内容や企業情報はもちろんのこと、募集背景、一緒に働く人のコメント、どんな未来を目指したいのかなど、案件選びの参考になる情報が細かく書かれています。
契約期間は3か月ほどが多いようですが、6か月間、9か月間と延長するものもあるそうです。
副業者が受け取る報酬の相場は、月額3万円~10万円です。
1~2週間で募集が終了。こまめにチェックを
「安定した経営基盤を持った上でさらに事業を拡大させようという会社もあれば、まだ創業したばかりでこれから事業を大きくしていこうという会社もあります。
事業フェーズの異なるプロジェクトがありますので、自分がどんな企業にマッチするのか、選ぶ軸を見つける面白さもあるかもしれません」
とはいえ、じっくり選んでいると、あっという間に募集が終了することも多いとのこと。
「1か月や2か月掲載しておくと、多いときは20名、30名と応募が入る状況です。あまり多いと受け入れ企業側が時間を取るのが難しくなってしまうので、1~2週間でクローズしている」と野垣さんはいいます。
こまめにチェックして、気になるプロジェクトがあれば、早めに応募することがマッチングの鍵となりそうです。
副業人材が困らないために、受け入れ企業をサポートする
この半年間で一気に案件数を伸ばしてきたLoino。
初めて副業人材を受け入れる企業も多くありました。
そうした不慣れな企業と副業人材がスムーズに仕事ができるよう、Loino事務局では、企業に対して受け入れのサポートをしています。
「何から始めるとよいのかわからない経営者さんもいるので、まずは私たちがヒアリングをします。どのような課題があるのかを一緒に整理し、優先順位をつけてもらう。そこから、どの課題を副業人材に取り組んでもらうのかを提案し、最終的には経営者さんに選んでもらいます。
頭の整理をお手伝いすることで方向性が定まり、副業として入ってきてくれる方のコミットメントも高めることができると考えています」
他にも、web面談の方法をレクチャーし、最終選考の意思決定のサポートについてもお手伝いしているとのこと。
並走型のサポートもあるからでしょう。全国の経営者からの満足度は「非常に高い」と野垣さんはいいます。
「Loinoを利用しなければ出会わなかったようなスキルや経験を持った方とマッチングし、会社としてやりたいことが前進したというお話をいただいています」
2拠点生活を見据えて、東京以外でビジネス経験を
月間登録者数は数百名規模と多くの方に登録いただいています。登録者、マッチングする方、ともに30~40代が多くを占めますが、最近では、20代後半や50代のマッチングも増えています。
「登録している方の特徴として、東京以外でビジネスの経験を積みたいと思っている方や地方に貢献したいと思っている方が多いですね。コロナ禍ということもあり、都会と地方の2拠点で働くことや生活することを見据えている方もいらっしゃるようです」
募集案件が続々と。多様な人材求む
今後について、まずは案件を増やすことを地道におこなっていきたいと話す、野垣さん。
応募しても決まらないという買い手市場を緩和したいといいます。
「現在はマネジメント層や専門性の高い方の登録が多いのですが、まだマネジメントをしたことがない方や、企画営業をされている方、トップレベルではなくとも専門性のあるお仕事をされている方もぜひ登録していただきたいです。これらの仕事をされている方は、都会には多くても地方には多くはありません。自分ではスキルや経験が不足していると思っていても、十分力になれることは多い。興味と意欲があるなら、まずは挑戦してみていただきたいです。
もう少し先の話になりますが、将来的にはリーダー層と専門的なスキルをお持ちの方でチームを組み、複数人で地方副業をおこなうスタイルも考えています。さまざまな方が地方企業と関わり、活性化につなげていきたいですね」
今後は、掲載する案件数をさらに増やしていく予定です。また、九州大学と連携し、大学発ベンチャー企業設立に伴走する事業化プロデューサー(プレCxO)を募集するなど、新たな取り組みも始まっています。気になる方は、Loinoのサイトをこまめにチェックすることをおすすめします。
Loinoのポイント
- 副業先は全国に広がる。企業規模も業種もさまざま
- 期間は数カ月。
- 報酬の相場は月額3~10万円
- 副業人材が困らないよう、受け入れ企業に対し、こまやかなサポートがある
- スキルや経験を地方企業に還元したいという人こそ歓迎される
- 地方企業で働いたという経験を得ることができる、新たなつながりができる
問い合わせ先
Loino
https://loino-p.jp/
