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【大人の学び直しに】リモート地方副業にプロボノ。「越境学習」で得られる7つのメリットとは?

こんにちは、「30sta!」編集長の杉山です。

リモート地方副業やプロボノなどの「越境学習」。会社に籍を置きながらも、会社外の環境にも身を置いて働くことで、普段の職場ではできない経験ができると言われています。

具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。

私のリモート地方副業の経験も踏まえると、大きく分けて7つのメリットがあります。とくに30~40代の「30sta!」世代には大きな効果がある、と私は考えています。一つ一つ解説しましょう。

1.自分に自信がつく

「他の会社で自分が通用するのだろうか」「この会社でしか通用しないスキルばかりなのではないか」。とくに一つの会社でしか仕事をしたことがない人は、このような不安を持っているのではないかと思います。

もっとも、リモート地方副業やプロボノなどをすると、これまで自分が培ってきたビジネススキルが外でも通用することに気づきます。30~40代になると、マネジメントスキルやスケジューリング、論理的思考などの普遍的なスキルは、ある程度身についているはず。こうしたスキルはどんな仕事でも通用するものです。

会社の外で自信がつくと、チャレンジに対する恐怖心が減り、また新しいことをしようというモチベーションが湧いてきます。

2.新たな経験や知識が得られる

今までしたことのない仕事に挑戦することで、今の会社ではできなかった経験が積めたり、新たな知識を得られたりすることも、大きな魅力です。ここで得たものは本業に還元できますし、別の仕事にチャレンジするときにも大きな力になるでしょう。

私は、リモート地方副業で、釜石大観音仲見世を再興する一環として、Webメディアの立ち上げに関わったのですが、実は他社のWebメディアを一から立ち上げたのはこれが初めて。サイト設計やデザインなどで知らないことを数多く学べました。

また、地方の町おこし会社で働き、地域おこし協力隊や地元の経営者さんと交流することで、町おこしのリアルな姿に少しだけ触れられました。今後の執筆活動で少なからず好影響があるのではないかと感じています。

3.自分に足りていないことに気づく

社外で仕事をしてみると、自分のスキルに自信がつく一方で、足りないスキルや知識があることにも気づきます。たとえば「会計の知識をもう少し勉強したほうがいい」「ウェブマーケティングの知識を身につけたい」などとなるわけです。

そうして必要性を感じてからセミナー参加や資格取得などをすれば、ムダがありませんし、モチベーション高く取り組めるので、スポンジのように知識を吸収できるでしょう。

4.「偏った価値観に凝り固まっている」ことに気づく

一つの会社・業界で仕事をし続けていると、自分でも気づかぬうちに、その会社や業界特有の価値観に凝り固まってしまいます。30~40代にもなれば、必ず何らかのカラーに染まっているものです。

たとえば、あるビジネスパーソンは、リモート地方副業に参加するまで、「社外の人と話す時は、自分と同じレベルの役職の人と話すもの。課長なら課長クラスと話すべきであり、安易に部長以上の人に話しかけてはいけない」と考えていたそうです。しかし、副業をするなかで、当たり前のように上の役職の人と話すうちに、自分の常識が世の中の常識ではないことに気づいたといいます。

また、大企業の場合は、きちんと計画を立てて、しかるべき人に根回しをして慎重に仕事を進めるのが普通ですが、ベンチャー企業の場合は、「根回しなんてまだるっこしいことをしなくていいから、拙速でどんどん進めてしまえ」という社風の会社もあります。違ったカラーの職場に身を置くことで、自分の価値観を見つめ直すことができるでしょう。

5.ダイバーシティな感覚が身につく

リモート地方副業やプロボノをすると、これまで接点がなかった初対面のメンバーがいきなり集まって、仕事をすることになります。一緒に働く人たちは価値観やバックグラウンドがまったく異なりますから、普段の職場の同僚や上司のようにツーカーというわけにはいきません。

仕事を進めていくためには、相手の意見を聞きながら、自分の意見を伝えてすり合わせる工夫がいつも以上に必要です。自分の業界でしか通用しない専門用語を避けて、わかりやすく話す気づかいも欠かせません。仕事の話をする前に、お互いの心の距離を縮めることも必要でしょう。

30~40代まで一つの会社・業界で働いていると、こういう歩み寄りの経験は少なくなるので、苦労するかもしれません。

しかし、このような経験を一度でもすると、接点がなかったメンバーと働く時のポイントが見えてきます。すると、別の機会でまた新しいメンバーと仕事をすることがあっても、苦にならなくなるでしょう。

最近は、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包括)が大切と言われます。価値観の違う相手と働くことは、まさしくその感覚を身につけることにつながります。

6.新しいことに対してオープンマインドになる

年をとってくるとだんだん保守的になりますが、越境学習によって未知の体験や知識に数多く触れると、新しいことに抵抗がなくなってくるものです。すると、最先端の技術や若い人の間で流行っていることに対しても、興味が出てきます。

また、副業やプロボノで自分よりも若い世代と交流することで、若い人の価値観や文化を知ることもできます。たとえば、「社会貢献に強い興味を持っている」「余計な礼儀にこだわらず、効率を重視する。チャットで余計なあいさつをしないで、絵文字で会話する」といったことです。こうした環境に身を置いていると、新しい考え方を受け入れられるようになるものです。

7.コミュニティが広がる

リモート地方副業やプロボノをおこなうことは、新しいコミュニティに参加するようなものです。さらにそこから別のコミュニティに参加する機会を得られることもあります。

たとえば、私も、釜石大観音仲見世のまちづくり会社の仕事をしたことで、これまでなかった釜石との接点ができました。それをきっかけに、釜石の別の町づくりコミュニティにもリモート飲み会で参加することもありました。このような人的ネットワークは、普段の仕事を続けるだけでは絶対に得られなかったでしょう。

最近は首都圏と地方の2カ所を行き来する「2拠点居住」が注目されていますが、いきなり知り合いのいない地方都市に住むのはハードルが高いことです。しかし、リモート地方副業やプロボノなどをすれば、地方に知り合いができ、移住のきっかけになるかもしれません。


このように、越境学習にはさまざまなメリットがあります。受け入れ企業や団体によっては収入も得られますし、チャレンジするリスクが低いことも魅力です。興味を持ったなら、ぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
杉山 直隆
1975年、東京都生まれ。専修大学法学部在学中に、経済系編集プロダクション・カデナクリエイトでバイトを始め、そのまま1997年に就職。雑誌や書籍、Web、PR誌、社内報などの編集・執筆を、20年ほど手がけた後、2016年5月に、フリーのライター・編集者として独立。2019年2月に(株)オフィス解体新書を設立。『週刊東洋経済』『月刊THE21』『NewsPicks』などで執筆中。二児の父(11歳&8歳)。休日は河川敷(草野球)か体育館(空手)にいます